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「労基法を守らない経営者は失格だ」という意見はそれだけなら紋切型。その先へ。何故守らないのか。ひとつにはペナルティがないから。或いは低いから。法を遵守することで得られる益がないから。或いは少ないから。

守った方が「得」だと実感できる状態を作らなければ意味がない。そうでなければそれは強制である。労働者の側に置かれていた我慢を、経営者の側に移動するだけだ。

立場の弱い労働者が虐げられていたように、立場の弱い経営者に皺を寄せる。

経済学は使い方によっては労働疎外を引き起こし、そこへの反省もあると聞く。「労働」についての考察が弱いのだ。経済学では「労働力」と定義する。その労働力のモチベーションの上げ方、スキルアップ、成長、長期にわたる利益確保をもたらす労働力の確保においては、未だ効果的な考察は為されていない、とする仮説。

では「経営力」については？　労働者が労働力であるならば、経営者もまた交換可能な「経営力」と見做される。