70年代後半に、紀伊国屋書店ショーペンハウエルの著作を探そうとして、一冊もなくて「ああ、この人流行ってないんだなあ」としみじみ主人公が感じるシーンがある。人の為にと動き出し、結局失敗して自殺をはかる高橋くんは、フルートを吹く。「ああ、ショーペンハウエルなんですね。フルートは呼吸器の運動にいいんですよ」 庄司薫『ぼくの大好きな青髭

70年代後半に、流行っていない。一冊もない。主人公は思う。そんなことって有り得るだろうか? しかし一冊もない。象徴的なシーンのひとつ。