子供の頃、短絡的であったり感情的であったりする周りの
人間途上の子供たちは皆、バカに見えた。

大人もやはりバカであった。

そのような懐疑的、批判的な目を持ちつつ、
そうであるからこそ Nは純粋で無邪気であった。

中に少数存在する「バカではない子ども」の存在も
もちろん見えた。

英才教育なんかあれば、適していた子どもだっただろうと思うけれど、
そのような場はなく、子どもが親以上に優れた存在になることを赦さないという
成り上がり意識に欠けた、停滞後に衰退する家系の元に生まれたので、
田舎の粗野で無教養な者達に囲まれて過ごしてきたのであった。

下放である。Nの身近には毛沢東が存在したのであった。