「人の一生には、勝負せざるを得ん時がある。勝負やすんの、いややな、思とっても、そうせざるを得ん時が、かならず来る。野球の試合や見に行くのんは、人に勝負させといて、それ見に行くだけや。むごいィ。けど、そういう人にも、わが身が勝負せざるを得ん時が、かならず来る。あんたの場合を言えば、五十点以下の実力で勝負せんならんが。頭の決心と心の決心は別物やで。あんた頭ン中で立てた夏休みの計画が実行出来へんままに、自分をあざむいて、夏の終りむかえた、いうことがあるやろ。あれ悲しいが。情けないが。頭やたよりにならへん、いうことや。淋しいが。なんぼ頭がようても、頭がええだけ頓馬(トンマ)やが。けど、頭のええ人は頭にしがみ付いてん。わしはえらい、思て。そない思て、我が身の頭ン中の落し穴に落ちてん。はて、どななえらい人でも、人のえらさには限りがあるけど、人の愚かさは底無し沼やが。人が勝負しよってん、はたから見とるの楽しいィ。真剣勝負であればあるほど、楽しいィ。」

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