後日談

手紙も交換日記も写真もすべて捨てた。私は他人の過去にも自分の過去にも、過去というものに興味がないので、こういうものは彼女に限らず捨てる。大事なものであればあるほど、それに寄りかかって生きる自分が嫌で、そこから離れるために捨てる。

これは前置き。そういうわけで彼女からの手紙も2年続けた交換日記も、写真も全く残していないのだが、誕生日にもらったクマの縫いぐるみを持っている。「うさぎとクマとで迷った」と言って渡してくれたが「うさぎが良かったな」と思ったくらいで、最初は全然気に入らなかった。セーラと名付けて、今セーラちゃんは三十路である。何てことでしょう。

彼女はこのことは知りません。とくに喜ばせたくもないので。

セーラはセーラー服を着ていたので、母が勝手に名付けたのだが、小公女の名前なのでこの名前自体は気に入っている。

セーラと私は仲良しだ。