「一方的に契約関係を打ち切ることが許されるか否か」

許されません。労働基準法にも明記してあります。「労働契約」を取り交わすことは大手では当たり前ですが、中小零細企業ではあまり為されません。労働者の無知とそこにつけこむ経営者により、労使が対等とはとても言えない状態である場合も見受けられます。


「労働条件通知書」を受け取っていますか?


現実には、中小企業での労働条件は「社長との相性次第」「社長の器次第」です。勿論社長だからといって立派だとは限らず、玉石混交でしょう。

自分を安売りしないことです。尊敬できない社長であれば、見切りをつけることも大切です。中小零細は社長次第です。

また、一方的に契約関係を打ち切ることも、中小零細では頻繁に起こります。労働は対価を受け取って、契約に基づき、契約書に書かれている内容について行うものですが、時に社長は見合う報酬を出さずにプラスアルファを求めて来る場合があります。

世の人々が中小零細企業を避け、一部上場企業や公務員を希望するのは、やはりそれなりの理由があります。専門職で現場経験を積むためといったような明確な理由があるならば別ですが、奴隷的な、一方的な服従を受け入れることに繋がるリスクは大手より高い。人として正当な言い分であっても、人事権と解雇権をその手に一度に握る経営者と対等な話し合いが出来ない、そういうリスクがあります。

上場企業は株主と代表取締役は別です。任期も有限ですし、他者の目が光ります。しかし世襲相続で一族が株を握る中小零細企業は、一族に権力が集中するのです。口では綺麗なことを言っていても、本当に自分を脅かすほどの優秀な社員が仮に出てきたとしたら、「会社の方針、或いは社長の言うことに従えない者は必要ない」の一言で追い出しにかかるでしょう。

だから誰も逆らいませんね。会社のためを思って意見を言っても、社長の機嫌を損ねたら職そのものがなくなります。大きなリスクです。

外資並みに簡単に解雇され、その理由が外資より恣意的なのが中小零細企業の実態です(あくまで一般論です)。


同族経営で、一族だけが世襲で支配する会社は、経営者とその企業が一体です。会社=経営者。それならばすべての責任を経営者が取るべきなのですが、大体そうはならない。


こういう中小零細企業で自分の身を守るには、ひとつには人事労務の知識を最低限身につけること。受験してもしなくてもいいですから、社労士試験のテキストを読んでみることをお勧めします。まず労基法。これをしっかり頭に入れて、興味が続くようなら雇用保険法。年金も読むといいかもしれませんね。しっかり理解できている人は少ないです。

この時、自分に関係ないからといって国民年金法を捨ててしまわないように。国年と厚年は二階建て方式です。その成り立ちも書いてありますから両方目を通すとよいと思います。

人事労務の知識を得たら、社長に対し敵対するのではなく、社内のしくみを整える上で人事労務のテコ入れをどうすべきか考えてみましょう。明朗に人事権を行使することが、企業にとってどのようにプラスに影響するかを考えてみるといいかも。


人事労務に関するシステムがしっかりしていれば、労働者は安心して働くことができます。このことが労働者に与える影響は大きいのではないでしょうか。他の社員にもプラスになります。

そこまでする気がないなら、労働基準監督署が何をしてくれる機関か。その限界も含めてしっかりと認識しておくとよいでしょう。個人的な相談ならば、内部より外部にした方が明確且つ有効なアドバイスがもらえそうです。

社労士に相談するのもいいですが、顧問社労士以外は直接経営者に働きかける機会を持ちません。顧問社労士は概ね経営者の味方か、或いは中立の立場です。(一般論です。例外はあります)

労基署に経営者への直接指導を望まない場合(=経営者に知られたくない場合)は、最初にそれを伝えれば、相談だけを受けてもらえます。きちんと聞いて、客観的にアドバイスをくれます。

労基署の職員と、年金事務所(旧 社会保険事務所)の職員と、ハローワークの職員は、同じ公共機関でもそれぞれカラーが違います。労働基準監督署労働基準法に基づき設置され、企業が法令を遵守しているかどうかのチェック機関ですから、労働現場に於ける労働者の話を聞き、問題点を炙り出そうとする意識をじゅうぶんに持っています。


経営者は社員一同と話をする時、社員側のメリットもじゅうぶん意識するといいでしょう。外部との契約だって双方にメリットがなければ成り立ちません。